うまい日本酒を飲み続けていて酒米や9号酵母など語彙が少し増えました。きょうの夕刊に「酒米流通減」の記事が載っていましたが通常米の2倍の価格が得られる農家にとってのポイント・ゲッターも力をやや失い大変な状況が報告されていました。酒だけでなく酒米自体も兵庫県が生産量日本一だということを知りました。流通の大変な時代には地元の材料で、というのが当たり前だったのでしょう。現代では別の理由から地元の材料を、ということになっているのでしょうが基本的には蔵元は全国各地と契約栽培して材料を調達しているものと思われます。
先日友人からいただいた花の香酒造さんの9号酵母、社長の自園栽培米でつくられたお酒には感動いたしました。大吟醸というと削りに削って水みたいになった「切れ」という形容詞を冠した評言のついたお酒が多いのですが、このお酒は米本来がもっている豊かな味がうまくからみあって素晴らしい酒となっていました。豊かな味というと、埼玉の神亀を時々買っていましたが削ったコメの酒でこんなに豊かな味のするお酒は初めてです。焼酎の醸造会社からの飛躍の仕事人となって頑張っている社長さんのメッセージがひしひしと伝わってきます。
テレビでYouTubeがみられるようにしてもらいました。お気に入りはフランスガイドの中村さんというパリ在住の方のハンディカメラで歩きながら撮った映像です。カット無しでただカメラ持って写しているだけの映像ですがそれがかえっていいのです。テレビの旅行番組だと編集しすぎ。中村さんのは、一緒に歩いて散歩しているみたいです。路地裏が特にいいです。普段だともっとひとがいるのでしょうがガラガラの石畳道はいい感じです。
チェリビダッケの「ボレロ」を観ました。すごいですね。バーンスタインみたく飛び跳ねたり(もちろんパーフォーマンスなどではなく、自然と出てくる挙動です、バーンスタインは名指揮者です)はしませんがチェリの体がうたっている姿が良く記録されていました。彼の演奏はフルトヴェングラーが追放期にBPOにデビューしましたが晩年に行くほどテンポが極端に遅くなり、信奉者と批判者の分断を大きくしたのですが、何度もいろんな指揮者で聴いている曲でも彼の演奏となるとまったく初めて聴いた曲のような感じになることしばしです。フルトヴェングラー/BPOとは対立する形でベルリンからは離れていくのですが、その後晩年までの演奏造形のためのスタンス、生き方の抽象化はフルトヴェングラーと同じなのかなと感じました。聴いているだけのクラシックファンなので楽譜・・・の議論に関心がわかず、演奏にこころ揺さぶられ云々が主体になってしまう聴き方は貧しい聴き方なのかな。これを仮に豆腐に改めると、こちらは作る側なのでスコア云々の立場になるわけで、造ったこともない食者につべこべ言われると頭にくるという、音楽の議論とは正反対のことが起き笑ってしまうのですが。
VPOの今年のニューイヤー・コンサート。自分と同じくほっぺたが重力の法則にしたがっいるムーティの顔を見たとき歳月の流れに胸がきゅんとしてしまいました。無観客。なんかオーケストラのスタジオ録音みたいで数分で観るのをやめました。