コメとの邂逅を物語った柴田監督の映像にきのうは酔いしれました。おとといの『フリーソロ』と続けざまに、思考を促す作品に出合えたのは僥倖でした。
きょうも雨。実は好きなのです。雨の日に打田鍈一さんの『晴れたら山へ』を拾い読みしています。『フリーソロ』のクライマーが哲学者なら打田さんは日本の山々、特に訪れるひともまれな静かな山の案内者。踏み後もかすかなあるいは岩とやぶの、といってもそこには緑もあるしこじんまりと咲く山のお花、静かにあるいは激しくしぶきを上げる沢・・・といったふるさと日本の大切な風景を端正な文章で語る散文詩人です。私自身忙しくてあるいは足腰が弱り山にはいかなくなってしまいましたが打田さんの歯切れのよい文章に導かれ、息切れすることもなく西上州の岩山藪山を空想登山しています。時代の流行にとらわれることなく、というよりあるトレンドを作ってしまったその生き方はたくましい限りで素敵です。