こちらはそんなに変だなとは感じなくても「きょうは山下さん疲れてるの?」とお客様のところで何人ものひとに言われるので顔つきはごまかせないものだな、と感じました。
実はきのうの夜は元旦に放送していたヴィーナー・フィルハーモニカーつまりウィーンフィルの元旦恒例ニューイヤーコンサートを録画で居眠りなく全部観てしまったのです。随分と昔からFMや地上波では放送し録音や録画はとっていたのですが全部観たのはこれが初めてかもしれません。何かの目的があったわけではなくつい観てしまっただけのことです。
しかし思うところはたくさんあって物忘れひどい今日この頃の自分であってもきのうの映像の記憶はかなり強くこころに刻まれたものと思われます。ウィーン国立歌劇場とムジークフェライン・ザール(楽友協会ホール)の2ホールはFMでは最も出場回数の多いホールなので響きは自分の頭にはこびりついているわけなのですが現実の金ぴかホールを観ながらの音楽鑑賞となるとちょいといつもと違うなと感じました。
自分は目をつむって音楽を聴くとすぐ寝たり・ぼーっとしてしまうタイプなので現場のホールであっても眼はぱっちりと開けて音楽を聴くタイプの人間なのですが、テレビでもやはり自分流でいきました。金ぴかといってもできたてでないので調度や柱、飴色のゆか、飾られたお花たちに囲まれてはなやかなれど落ち着いて感じました。特にあの使い込まれた床の感じは今回初めて見たものでびっくりしました。弦楽器のボディと同じです。床もりっぱな楽器と化しています。
所沢にはミューズという音楽ホールがありますがこのムジークフェラインの直方体構造を少しく大きくしたような形になっています。上野学園の石橋メモリアルホールの隣にあるのもちいさいですがこんな教会型のホールでしたね。
日本人の顔が結構散見せられてびっくりしましたが、正規の料金が15万くらいで現実には「並んでカネ」でチケットを手に入れることはほぼ不可能のようです。サイドの席にいた方たちは身分のあるような感じでしたし一階に固まっていた日本女性たちはたぶん旅行会社ツアーの方たちでしょうね。
近くのカフェでしょうか、NHKの特設スタジオでお話をしてくれた今回出演しない第一Vnの方はハーフでしたが日本語ぺらぺで話の内容も秀逸でした、Many thanks.です。草笛光子さんと中谷美紀さんも出てくださいましたが、中谷さんは今回も出演していたヴィオラ奏者とのご結婚で一時話題になりましたがきれいなかたですね。演奏後夫君もスタジオに来てあいさつしてくださいましたが、目のきれいなイケメンでした。少し老けたかな、いい意味で人間の熟成を感じました。
この指揮者は知りませんでしたがトランペット奏者だったのか、たしなみで上手に吹けるのか知りませんが後半で導入部で吹いてくれたりがとてもよかったです。
スッペの導入部のファンファーレを聴いてもわかるようにVPOの金管は’柔らかい´。これに慣れてしまうとチェコフィルやレニングラードフィルのキンキンした音には耐えがたいものを感じてしまうのですが、これも多様性として片付ければいいことなのかしらね。
この元旦コンサートでベートーベンの舞曲をやるのはクナやボスコフスキーその他のレコードからしても聴いたことはないと思いますがとても良かったです。第三シンフォニーに使われているテーマもちょこっと顔を出したりで聞き逃せない一コマでした。コントラダンス・・コントラなので’対’ということで女性と男性が’対面してということでしょうか。
演奏会場とは別場所で撮ったあるいはライブで挿入したバレエには感動しました。バレエで感動したなどというのは初めてです。素晴らしい映像でした。
こんなわけで昨日の夜は生涯の思い出に残るVPOニューイヤーコンサートの視聴があったのです。ベームでもカラヤンでもクライバーでもバーンスタンでも小沢でもなく自分にとって無名の指揮者のすばらしい演奏会でした、中谷美紀さんの夫君の目の輝きにも感服いたした次第です。
きょうは記念すべき’感服’の記録を書きました。